犬猫の健康で幸せな
生活のためのお手伝いを

代表的な疾患の写真です。一部気分を害する画像があるかもしれませんのでご注意下さい。

膿皮症

 
 

何らかの理由で皮膚の常在菌が異常増殖して皮膚に炎症を起こす疾患です。
抗生物質、殺菌用シャンプー、皮膚保湿剤などを適宜使用して治療します。

脂漏性皮膚炎 

 
皮脂腺からの脂の過剰分泌や、逆に分泌不足などによりベタベタな皮膚ややカサカサな皮膚になってしまう疾患です。
原因は遺伝、ホルモン疾患、生活環境など多岐に渡りますので、出来るだけ原因を探りながら適切なシャンプーや内服薬や外用薬を使用して治療しますが、生涯にわたり治療が必要な場合があります。

肛門腺破裂

肛門の左右にある肛門腺(嚢)が何らかの理由で炎症を起こし破裂してしまう疾患です。
写真は猫ですが、犬も同様に発症します。
破れるまでが痛いようですが、破れてしまうと大体の場合は抗生物質の投与で綺麗になります。
傷が極めて大きな場合は麻酔下で傷を洗浄し縫合する場合もあります。

涙やけからの皮膚炎

短頭種などで時々見られます。
眼の炎症や逆さまつげ、眼の周りの周囲の毛が角膜を刺激することでの涙の分泌過多、鼻涙管狭窄などで発症するようです。
定期的なメンテナンスが必要となることが多いです。

 


褥瘡(じょくそう、床ずれ)

寝たきりになった動物は床と皮膚の間の血行が悪くなり、その部分の皮膚に穴が開いてしまうことがあります。
一度皮膚に穴が開いてしまうと、その傷を塞ぐことは極めて困難です。
色々な理由で寝たきりになってしまった場合は、数時間に一度寝返りを打たせたり、床との接触部分をマッサージしたり、床ずれ防止マットなどを利用して皮膚に穴を開けない工夫をして上げてください。

チェリーアイ

 眼の内側にある第三眼瞼(瞬膜)の奥にある腺組織が飛び出してしまう疾患です。
1才以下の若い犬に発症しやすい傾向があります。
炎症性のものは点眼などで治ることもありますが、多くは外科的に腺組織を元の位置に整復します。

マイボーム腺腫

 
マイボーム腺はまぶたの縁にある「脂っぽいの涙」を分泌する腺に出来る良性の腫瘍です。
腫瘍を指で潰すことも出来ますが直ぐに再発してきますので、根治には手術で腫瘍を摘出することが必要になります。

角膜潰瘍

シーズー、パグ、フレンチブルドッグなどの短頭種は、色々なものに目をぶつけることが多く、眼の表面(角膜)に傷を付けてしまうことがあります。
表面的な傷であれば点眼薬で治療しますが、傷が深い場合は手術によって一時的にまぶたを塞いだり、角膜の傷を縫合したりすることもあります。
写真は傷ついた角膜を確認するために専用の染色液で染めている状態です。緑色に染まった部分がキズです。

眼瞼炎

感染などでまぶたが炎症を起こしてしまった状態です。
細菌感染、真菌感染、免疫異常、寄生虫などが原因として上げられます。
細菌が原因であれば抗生物質、真菌が原因であれば抗真菌剤、免疫異常であればステロイド、寄生虫が原因であれば駆虫薬などを使用して治療します。
痒みや痛みを伴うこともありますので、時にエリザベスカラーなどを装着して自傷しないようにします。

結膜炎

ウイルスや細菌の感染により結膜に炎症が起きた状態です。
写真は猫の風邪(猫ウイルス性鼻気管炎)に起因する眼瞼炎を伴った結膜炎です。
抗生物質点眼、インターフェロン投与、アミノ酸投与などで治療を行います。
猫の風邪であれば適切なワクチン接種で症状の重篤化を防ぐことが出来ます。

乳歯遺残

永久歯が放出してきているのに乳歯が抜けない状態です。
乳歯が抜けないことにより、永久歯との隙間に歯垢が溜まり、後に歯肉炎を起こしたり、場合によっては永久歯の向きがおかしくなることもあります。
全身麻酔下で残っている乳歯を抜きますが、この様な乳歯の歯根は出ている歯の2倍以上の長さがありなかなか難儀な処置です。

歯根膿瘍

上顎第4前臼歯(上顎の一番大きな歯、裂肉歯)の根に感染が起きると眼の下の部分が腫れ上がり、時にそこの部分の皮膚が破れて膿が出て来ます。
治療は全身麻酔下で抜歯を行います。
裂肉歯は三根歯(歯の根っこが3本あります)で、抜歯がとても大変な事があります。

エナメル質破損

硬いもの(木、ひづめ、石など)を噛むことで歯のエナメル質が壊れてしまいます。
一度壊れたエナメル質を元に戻すことはほぼ不可能です。
かみ癖があるからとか、愛犬が喜ぶからと等の理由で硬いものを与えることは決して行わないでください。
コングなどのゴム製品以上の硬さのものをおもちゃとして与えることはお勧めしません。

重度歯石付着による歯周病

大量の歯石が付着することで唇や歯茎が炎症を起こしています。
ここまで酷くなってしまうと歯の動揺も見られますので、歯石除去を行った後に抜歯を行います。
歯が抜けた部分に大きな穴が開きますので、その部分を歯茎の粘膜を利用して縫合します。
抗生物質の投与も必要になります。

猫の口内炎

細菌感染、猫カリシウイルス感染症、歯石付着、猫免疫不全症候群、猫白血病など原因が様々で診断・治療に苦慮する疾患です。
猫は口の痛みによって食欲不振になってしまうことが多いです。
治療は抗生物質、インターフェロン、ステロイド、ラクトフェリンなどの内科的治療の他に、歯を抜いてしまう外科的治療法もあります。

腸内ひも状異物

紐で遊んでいる内に飲み込んでしまい、腸閉塞を起こしてしまいました。
腸はぜん動運動で内容物を送り出そうとしますが、長い紐は上手く流れずにこの様に腸が縮こまってしまいます。
この状態が続くと、腸は紐で切れてしまいお腹の中に腸の中身が出て腹膜炎を起こしてしまいます。
細長い紐は動物の口が届く部分には「絶対に」置かないでください。
胃内異物
動物は時としてとんでもないものを飲み込んでしまいます。この症例では大きな石を飲み込んでしまいました。
散歩の時など、異物を食べてしまう癖のあるワンちゃんの場合、マイ口輪などを装着して出掛けるのも良い方法だと思います。
勿論、食いさせないように躾をすることが一番ですが。
 

乳腺腫瘍(乳がん)

 
乳腺腫瘍は中高年の未不妊動物に発症することが多い疾患です。
悪性度は犬では50%前後、猫では90%前後です。
治療は人のように抗癌剤や放射線治療はあまり行われず、乳腺の外科的摘出です。
予防法は若齢期の不妊手術(卵巣子宮摘出術)です。

精巣腫瘍

陰嚢内にまで降りなかった精巣(睾丸)は陰嚢内にある精巣よりも10倍以上腫瘍化しやすいです。
写真のように途中まで来ている精巣は判りやすいですが、時にお腹の中で留まっていることもあります。
治療は精巣摘出(去勢手術)ですが、停留精巣が若齢期に見つかった場合は早期に去勢手術をしておくと腫瘍にならずに済みます。

子宮蓄膿症

子宮に膿が溜まることで体調が悪くなってしまう疾患です。
犬や猫の子宮はYの字の形状で、その先端に卵巣が付いています。
子宮の太さは中型犬で電気のコード位ですが、写真のように子宮内に膿が溜まり太いソーセージかそれ以上になることがあります。
全身状態が悪くなり、放置すると多臓器不全により死亡する場合もあります。
予防法は若齢期の不妊手術です。

膀胱結石

細菌感染、体質などで膀胱に結石が出来ることがあります。
膀胱結石が出来ると頻尿や血尿、オス動物では尿道内に結石が詰まることで排尿困難が起きて尿毒症を発症することもあります。

 臍ヘルニア

いわゆる「でべそ」です。
飛び出たものが出たり引っ込んだりしている内は良いですが、皮膚の色が変わったり痛みが出て来た場合には手術ででべそを塞ぎます。
勿論美的な理由でも手術を行うことがあります。


肛門周囲腺腫瘍

肛門周りの皮膚にある皮脂腺が腫瘍化します。中高年の未去勢件に発生します。多くは良性ですが、時に悪性のものも認められます。
治療は腫瘍摘出と去勢手術です。